この伝統ある生産者が、世界の注目を集めるようになったのは、1992年に所有者となったノエミ・マローネ・チンザノ伯爵夫人の時代である。潤沢な資金力を活かし、偉大なワインを生みだすための基礎を築いた。
そして1995年、イタリアを代表するエノロゴ、ジャコモ・タキスの手により、ソレンゴが誕生する。
ボルドー品種を中心にフランス品種で構成されたこのワインは、イタリアのワイン史にその名を刻む革新的な作品となった。
このソレンゴに加え、2003年からジャコモ・タキスの後任を務めたハンス・ヴィンディング・ディエルスがボルドー出身のエノロゴだったためか、アルジャーノではボルドー品種が話題にされがちだが、彼らの根幹をなす品種は、まぎれもなくサンジョヴェーゼである。
事実、
アルジャーノは1967年のブルネッロ協会の設立に尽力した生産者の一人であり、1970年という早い時期からブルネッロを生産している。
彼らが本拠を構えるサンタンジェロ・イン・コッレは、暖かな気候と、砂を含む粘土や石灰の土壌により、ワインは大らかでボリューム感のある味わいが特徴だ。
フランス品種を用いたソレンゴやノン・コンフンディトゥールの熟成にはフレンチオークのバリックを用いる一方、ブルネッロはボッティと呼ばれる大樽で熟成される。
そして、2016年現在、まだヴェールに覆われているが、第3章ともいえるムーブメントがある。
それは、、2015年からのアルベルト・アントニーニのコンサルタントに就任だ。
デカンターでミシェル・ロランやクリストフ・ルーミエと並び世界の5大醸造家に選ばれ、世界を知りつくしたトスカーナ出身の今一番勢いがある偉大なエノロゴである。
アルジャーノの今後の更なる躍進の可能性に、ワイン評論家のアントニオ・ガローニのみならず、大きな期待をもって注目しましょう。
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