メゾン・ジョゼフ・ドルーアン
Maison Joseph Drouhin

ドルーアンの歴史

ワイン造りの哲学

 全ワインリスト
 

ぶどう栽培倫理

全てに共通すること:
ぶどう樹を管理するための、大変骨の折れるきまりがあります。これらは、すべてのブルゴーニュワインにはあてはまらないのかも知れませんが、より自然で、より良いぶどうの育成には不可欠なものです。

土壌を尊重すること:
植え替えが行われる時には、土壌が2〜3年の休眠を経ていなければなりません。除草剤などの化学薬品は一切使用せず、昔ながらの鋤(すき)を使って耕し、肥料も野菜で造った天然の堆肥を使用しています。収穫量を多くするための工夫は行っていません。 収穫量が適度でないと、果実に必要な養分や成分が果実に充分に凝縮されないからです。

環境を尊重すること :
自然条件を生かし、ぶどう樹の虫害や病害には、自然由来のもので対応し、科学肥料や殺虫剤などは使用しません。例えば、自然のバクテリアや捕食動物(天敵)などは、科学薬品の代わりになりますし、ジョゼフ ドルーアンでは長年に亘りこれを実践しています。

最もシンプルで、自然なアプローチ。これがドルーアンの基本です。

遺伝的特性を尊重し、保全すること:
苗床の管理も大変重要であり、古いぶどう樹の遺伝的性質が保全されるよう、台木の選定にはこの上ない厳格さで臨みます。ジョゼフ ドルーアンのぶどう畑は、1ヘクタールあたり10、000〜12、500本のぶどう樹を植える、大変な密集栽培を行っています。さらに、樹と樹の間には雑草をそのまま生えさせておきます。 これにより、ぶどう樹は養分を求めて根を底土深くまで伸ばし、甘やかされず果実に成分を凝縮するようになります。余分な葉は取り除かれます。 それによって、果実に充分な日照がもたらされるようにするためです。 収穫時期の決定には、糖度・酸度・タンニン分などの、ひと通りの調査を経なければなりませんが、各々のぶどう畑には経験と伝統に根差したの持つ最適な収穫タイミングの決定的要素というものがあり、最終的にはそれに従います。
手摘みされたぶどうは小さな箱に入れて輸送します。ぶどうを傷つけないために、大きなコンテナなどは使わず、極めて手間のかかる作業をするのです。搾汁の前には、ベルトコンベアでぶどうをゆっくりと移動させながら、さらにぶどうの房を厳選する最終チェックを行います。 そのまま搾汁するのか、あるいはぶどうの軸を取り除いてから行うのか、その決断もぶどうの状態をチェックし、実際にテイスティングをした結果で決定します。

 

ワインメーキング倫理

最先端のワインメーキング技術や、何か奇跡的なレシピにご興味をお持ちの方々は、おそらくがっかりされるでしょうが...私たちのワイン醸造は伝統的そのものです。

ジョゼフ ドルーアンのワイン醸造に対する倫理:
ぶどうの「あるがまま」を尊重すること
手摘みの収穫、ぶどう畑からワイナリーのぶどう輸送時に、小さな箱を使うこと(ぶどうのダメージを抑える)、発酵樽やプレス機への搬入はすべてベルトコンベアでゆっくりと行うこと

 赤ワインの場合:
除梗(デステミング)は、軸が若々しくグリーンで、健康な状態で行うこと
酵母の添加は行わないこと(ぶどう果皮の天然酵母のみを使用)
発酵温度は25℃〜32℃の範囲内にコントロールすること
かもしと発酵は12〜18日間、最大で21日間とし、その期間はテイスティング結果で決定します。かもしの時間が長すぎると、余分なタンニンが抽出されてしまい、ワインが粗っぽくなり、気品を欠いてしまいます。
 
白ワインの場合:
空気式のプレスを用いること
重力を生かした(グラヴィティ・フロー)デキャンティングをすること
コート・ドールのワインはすべて木樽発酵をすること
マコンやプイィ・フュイッセ、またはシャブリなどは、ステンレスのタンクで発酵し、木樽での熟成します。
 
すべてのワインに共通して:
アルコールの発酵の後、冬から春にかけてマロラクティック発酵(乳酸発酵)が自然に起こります。ドルーアンファミリーと、ワインメーカーのローレンス・ジョバールは、毎日発酵桶の温度をチェックしています。これにより、発酵桶の上部にできる果帽(果皮などの糟が液の表面に押し上げられてできる層)を沈めて、下部から出した果汁を上に注ぎ足す方法による温度管理を行うタイミングが決められます。
発酵が終ると、ワインは桶の中で「かもし」を経ます。
−その期間はどの位が適当なのでしょう?
−フィネスを台無しにしてまで、濃厚な色合いと充分なタンニンを抽出すべきなのでしょうか?
−白ワインは大きなフレーバーを表現すべきでしょうか、それともエレガンスを保つべきでしょうか?
−ワインは若々しい内にパッと飲まれるべきでしょうか、それとも、響きあうが如くじっくりと熟成し、またさらに長く熟成されるべきなのでしょうか?
「経験と最新鋭の醸造設備」という言葉は、ワイン造りは技術的には簡単なことのように思わせます。実際そうなのですが。しかしながら、それら流行のファッションのようなスタイルに迎合すべきなのでしょうか? 古き良き伝統はどうでも良いのでしょうか?
それらすべてのちょうど良いバランスというものがあります。それは、造り手の確固たる信念と、世界中のワイン愛好家が求めているテイストとの間に、形となって表れるものです。