TOPIX No 009
2005/06/01 インポーターのリリースを転載


ジュブレイ・シャンベルタン

 


ポマール

 


P・パカレ

フィリップ パカレ 2003年の、収穫および醸造に関する説明

 

【栽培・収穫】

2003年の猛暑により生育が止まったり、水不足によるアントシアンやフェノール成分の未成熟、ひどいとこではぶどうが焼けてしまって干しぶどうになり収穫にならなかったところもあります。
が、パカレが持っている畑は樹齢が高いことと、畑を耕して根っこが地中深く張るように長年してきたおかげで上記のような極端な被害はでませんでした。ただ高温により生育にブレーキがかかり、(ぶどうが小さかったのもその影響です)糖分は上ったものの、アントシアンなどの成分が完熟しなかったため、恵みの雨が降り、それが熟すまで待ちました。
それに比べ周辺の生産者たちは、暑さのせいで糖分がどんどん上るのに驚き、「ピノのスタイルを損なう前に」との判断から、糖度のレベルだけをみて、あわてて収穫したところがあります。これではタンニンがしっかり熟していませんから、アンバランスになってしまいます。

樹齢が高いというのも1つのテロワールの特徴であり、「テロワールを超えることはできない」という言葉があてはまります。しかしその偉大な土壌も、生産量を追求する余り、化学物質や機械化に頼っていては、その土地のポテンシャルに気づきません。
手で鍬を握って耕し、今の時期なら1株1株芽かきをきっちりしながら木の状態を把握するからこそ、畑とぶどうの相互作用について理解が深まるのです。トラクターに乗ってサササッといい加減な農作業をしているのでは絶対にそこまでの視点は生まれません。

「ぶどうの声を聞く」という造り手の話を時々お聞きになったことがあるかと思います。丹念な農作業を通して、ぶどう樹の変化に敏感に気づき、理解する技量がなければ「テロワール」は発揮されないのです。そういう意味では「人」は大事な要素です。

 

ぶどうの生理について少々ご説明します。

《気温が高いとぶどうにどう影響するのか》

*葉の表面温度が35℃を超えると光合成が完全に停止する。

2003年8月は気温が40℃を超える日がありましたのでぶどうの生育に大きく影響しました。

*果粒の表面温度が上りすぎると、ワインの果実味を構成する風味が損なわれる。

*直射日光が当たると果粒の表面温度は、周囲の気温より最大15度高くなる。

 

【発 酵】

発酵の温度を少し低くして、発酵期間を1、2日短くしました。またピジャージュを控えて重たい構成にならないように注意しました。
他の生産者で補酸したところが相当多かったのも2003年の特徴です。補酸用として酒石酸を作るメーカーはこの年、最高の売り上げだったと聞きました。味わいがアンバランスになり、温度変化によって結晶が出やすくなりますが、もちろんパカレは使っていません。