アレハンドロ・フェルナンデスがリヴェラ・デル・デュエロに自分のワイナリーを開いたのが70年代。この頃スペインのワインと言えばスティルワインはリオハ、スパークリングのカヴァ、そしてアンダルシアの酒精強化ワインのシェリーで、リベラ・デル・デュエロでは特に品質に拘泥しない日常酒が一般的でした。唯一ベガ・シシリアのカベルネソーヴィニォンにテンプラニーニョを加えて造る「ウニコ」だけがワールドワインマーケットで産地の代表というよりスペインの高級ワインとして君臨していただけでした。
フェルナンデスが80年代後半から地元のテンプラニーニョだけを使ったワインを造り始めたワインがパワフルで複雑な表現力をもったワインとして、アメリカのワインライターに評価された。これが「スーパー・スパニッシュ」第一号「ペスケラ」の誕生の瞬間です。
スパー・スパニッシュという呼び名はワイン法上のモノではありません。伝統的なスペインワインから解き放され、グローバルなワインマーケットを狙いを定めた「多くの表現力」を備えたスペインワインとでもいった意味で、賞賛と期待を込めてワインファンに用いられているものでしょう。おりしも、スペインがEUに加盟し、経済力がアップしてきた時期でまもあります。
以後、リベラ・デル・デュエロの潜在能力に気付いたワインメーカーはリベラにワイナリーを開き始め、第二・第三のペスケラを目指している。90年半ばと比べ現在のワイナリー数は2倍近い100を越えるといわれ、この地区への投資はリベラだけにとどまらず、ドウロ河の対岸の産地トロにも及ぶほどです。
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