5品種のアッサンブラージュによるまとまった味わい
イタリアの伝統的白ワインと言えばソアヴェ、ガヴィ、フラスカティ、オルヴィエート。単一品種による個性的な白ワインが数多く存在する。品種個性を前面に出し、ソアヴェなどは一時期の低迷期を克服したかのようだ。量から質への転換を終え、市場での評価を高めている。ウンブリアにも伝統的白ワインが存在する。50年代に貴腐菌を利用して若干の甘みを残したアマービレで人気を博したオルヴィエートがそれである。(その後辛口タイプが主流になっている)60年代に入り生産地域が広げられると共に、一時期のソアヴェ同様に粗悪品が出回り、評判を落としていった。
オルヴィエートはこの地域の伝統的品種5種をアッサンブラージュするという他にはない個性的な造りのワイン。
豆類を植えた緑の畑
そのオルヴィエートで古くから“質に拘っているのが”名門パラッツォーネ。1969年にイル・パラッツォーネ荘園を購入し、植替え、量から質への転換をオルヴィエートで最初に行った。土壌は貝の化石を多く含む多孔質石灰石を主とした泥灰粘土質。標高は300〜400m。オルヴィエートDOC全体はまだまだかつての名声を取り戻したとは言えない様だが現当主ジョヴァンニは自信を覗かせる。『葡萄の生育が比較的早い地域なので未熟になるリスクが少ない。そのせいで厳しい選別や摘果を行わない造り手が多い。収量の多い若い樹から完熟前に大量に収穫している造り手が多い。残念だ。私達の畑は樹齢も高くなってきたし、化学肥料を10年以上使用していない畑は健全さを取り戻した(ボルドー液とマメ科の植物を植えるだけ)。密植の効果も出始めてきた』
熟成するオルヴィエート“テッレ・ヴィナーテ”
5種類の葡萄品種は18haのばらばらに散った畑、それぞれの土壌個性に合わせて植えられている。勿論、品種も土壌も違うので熟度が違ってしまう。そこが多品種ブレンドワインの難しいところだが、最高のタイミングで収穫できれば、それぞれの品種個性が独特の複雑味を表現し、バランスしてくれる。ジョヴァンニ曰く、このブレンドや収穫時期は長年の経験しかないのだと言う。『醸造面では空気圧でのソフトプレスと発酵期間の長さを意識している』パラッツォーネのオルヴィエートはまとまりが良く、突出した要素がないので感じ難いかもしれないが、非常に高いポテンシャルを持っている。その証拠にベースのオルヴィエート“テッレ・ヴィナーテ”でさえ5年程度の熟成によって、より大きなワインへと変貌する。
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