ドイツワインの品質等級

 ドイツで生産されるワインは、ドイツワイン法に従って、葡萄の熟成度によって品質等級されています。品質等級は、まずターフェルワインTafelwein とクヴァリテーツワイン Qualitatswein とクヴァリテーツワイン・ミット・プレディカート Qualitatswein mit Pradikat に分れます。

 

1)ターフェルワイン Tafelwein :
ドイッチャー・ターフェルワイン Deutscher Tafelwein
ドイツ産であればどのワインもこの表示をできます。日常消費用のワインがほとんどで、全体の生産量の約10%程度です。やや甘口で飲み口の良いワインがその大半を占めます。
ラントワイン Landwein :
いわゆる地酒。フランスのヴァン・ド・ペイ Vin de Pays に相当するワインで、味わい(残糖)はトロッケンTrocken・辛口かハルプトロッケンHalbtrocken・中辛口に限られます。生産地域を19に分け、その生産地の特徴を強調したワインで、食事にも合うテイストバランスです。
 
 
2)クヴァリテーツワイン Qualitatswein :
正確にはクヴァリテーツワイン・バシュテムター・アンバウゲビーテ
Qualitatswein bestimmter Anbaugebiete ・限定地域上級酒といいますが、一般的には省略してクー・ベー・アー Q.b.a と呼びます。ドイツワインでもっとも生産ボリュームが大きい等級で、13のワイン生産地域に分けれれています。ラヴェルには必ず生産地域表示しなくてはなりません。醗酵の際、モストに補糖が認められています。
 
 
3)クヴァリテーツワイン・ミット・プレディカート Qualitatswein mit Pradikat
肩書き付き上級酒と呼ばれるこの等級は、さらに6つに分けられます。モストへの補糖は一切認められておりませんので、天候により生産量が大きく変わります。略してQ.m.p
カビネット Kabinett :
熟した果実から造られ、一般にQ.m.pの中で最も辛口(甘さが少ない)で、食事にも合いますし、ワインだけでもおいしく楽しめます。生産者の味筋の一番よく判るワインと言われるクラスで、価格も手ごろです。
シュペートレーゼ Spatlese :
遅摘みした葡萄より造られるワインで、普通の収穫より最低1週間以上遅く収穫され、地域の決められた果汁糖度をクリアしたブドウが原料となります。濃度も高くなりますが、かならずしも甘口とはかぎりません。糖分を完全醗酵させたトロッケンやハルプトロッケンなども増えています。
アウスレーゼ Auslese :
充分に熟した房を選りすぐって作られるワインで、シュペートレーゼよりも一層気品のある凝縮したワインです。大半がやや甘口から甘口となり、ワインだけでじっくり楽しめます。
ベーレンアウスレーゼ Beerenauslese :
さらに成熟した超完熟の果粒のみを一粒一粒丹念に摘み取られるワインで、驚くほど芳醇の甘口でコクのある味わいです。
アイスワイン Eiswein :
その年の11月から12月、ときには翌年の1月まで摘み取りを遅らせ、気温が下がり葡萄が氷結したときに素早く摘み取られ、窄汁して造るワイン。氷結しないで腐敗してしまうこともあり、数年に1度しかできず、危険負担が大きい為、造れる蔵も少ない。
以前は別範疇のワインでしたが、1982年よりQ.m.pの一つの等級として組み入れるようになり、ベーレンアウスレーゼ以上のエクスレ度を有することが義務づけられました。貴腐菌により糖度が上がるわけではありませんので、ベーレンアウスレーゼやトロッケンベーレンアウスレーゼとは質の違うクリーンな甘さが特徴です。
トロッケンベーレンアウスレーゼ Trockenbeerenauslese :
貴腐ワイン。ドイツワインの最高の等級のこのワインは、貴腐菌が発生する最適な天候状態の年のみに造られます。ほとんど干しブドウ同様になったブドウから造られる『天然のリキュール』ともいえるもの。濃い金色に耀く甘露な一滴は世界最高のデザートワインといわれ、大変長命で驚くほど高価。