Wine List 【 ge-04 】

素焼きの壺・クヴェヴリで醗酵・熟成により
特徴的な琥珀色(アンバー)とタンニンが生まれる

オレンジワインのルーツ

8000年の歴史-クヴェヴリ醸造

ワイン発祥の地として知られるコーカサス地方のワインに注目が集まっています。その中心となるのがジョージア(2015年まで日本ではグルジアと呼ばれていました)です。
コーカサス地方はジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンの3国から成り、黒海(西)とカスピ海(東)の間に挟まれたコーカサス山脈と、それを取り囲む地域からなります。ジョージアは黒海に近い南コーカサス地域に位置する小国で、北にロシア、南東にトルコが隣接します。旧ソビエト統治時代も含め8000年以上もの間途切れることなくワイン造りが行われてきた、歴史的にも考古学的にも大変重要なワイン産地です。そして現在も500を超える貴重な固有品種が存在します。

ジョージアでは昔ながらのクヴェヴリを使った伝統的なワイン造りが今も大切に守り受け継がれていますが、ワインの近代化も進みヨーロッパ的なステンレスタンク等が持ち込まれたことで、ワイン造りも大きく変化を遂げました。この結果、今では全生産量の僅か10%程が伝統的なクヴェヴリを使用したワインです。現在のクヴェヴリは地中に埋められていますが、古くは地上にも置かれていたようです。しかし幾つかの大地震により多くが破壊されたことから、強度を高める事を目的にクヴェヴリを地中に埋めるようになりました。地中は温度が低く通年を通して安定しています。この結果、醗酵・醸しにも利点が多かった点も、地中での醸造が現在も続いている大きな理由と言えるでしょう。

そしてこのクヴェヴリでの醸造は、2013年12月ユネスコ世界文化遺産(人類の無形文化遺産部門)に登録されました。

クヴェヴリ仕込みで醸造した白ブドウから生まれる”アンバー・ワイン”(オレンジ・ワイン*)は、近年の回帰的なワイン造りによる”ナチュラル・ワイン”や”オレンジ・ワイン”ブームと相まって、世界的にも脚光を浴びるようになりました。

*オレンジ・ワイン:
白ブドウを赤ワインの醸造法(果皮や種を一緒に漬け込み醗酵し醸す方法)を用いて醸造することで、白ワインでもロゼワインでもない、濃い色調やタンニン成分(渋みや強い口当たり)、独特の風味を持つワインスタイルです。
ジョージアではクヴェヴリ仕込みのオレンジ・ワインをアンバー・ワイン(琥珀色のワイン)と呼んでいます。

近年のオレンジワインブームの生みの親で火付け役となったのは、クヴェヴリ仕込みのワインに深い感銘を受けたフリウリの造り手(イタリア、オスラヴィア地方)、ヨスコ・グラブネル氏です。ジョージアを訪れたグラブネル氏は同じ手法でワインを造りたいと、ジョージアからクヴェヴリを購入し、イタリアでワインを醸造しました。現在ではイタリアやフランス、オーストラリアなど、様々な国でオレンジ・ワイン造りに取り組む生産者が増え、注目が高まっています。


 

シャラウリ セラーズ
ムツヴァネ 2015

Shalauri Cellars
Mtsvane 2015


産地 : ジョージア(グルジア)、カヘティ地方、シャラウリ村
生産者:  シャラウリ・セラーズ
オーナー : デービット・ブワゼ氏、オーナー&創設者:ギガ・マカラウズ氏
品種: ムツヴァネ 100%
単位収穫量: 30〜35hl/ha
樹齢: 20年
醸造: 天然酵母にて果皮ごとクヴェヴリ醗酵、マセレーション約6週間(マロラクティック醗酵)。熟成:クヴェヴリにて果皮と共に6カ月、その後果皮を取り除いて更に6カ月。瓶熟:18カ月 。
容量: 750ml
生産本数: 3,000本
アルコール度: 13.0%
タイプ: アンバーワイン(オレンジワイン)、辛口
評価 : 
(2015)サクラアワード 2018 金賞、
(2015)ジョージア・インターナショナル・ワインコンペティション2016 金賞
 : ビオロジック

果実や花々の香しいアロマが広がります。アーモンドやドライフルーツの香ばしい風味と複雑で深くフェノリックな要素を持つアンバーワイン(オレンジワイン)です。

 

 

ワイン醸造

 

今日、多くの造り手が近代的なワイン造りを行い、ヨーロッパスタイルと呼ばれるワインが生まれていますが、カヘティ地区でのクヴェヴリ醸造は、同じくクヴェヴリを使用したワインを造るジョージアの別のワイン産地とも異なる独自性があります。この為、世界を見てもカヘティヤンワイン(カヘティ地区のワイン)と同じ方法で醸造されるワインはありません。

一般的な醸造はワイナリーにもよりますが、サツナヘリと呼ばれる容器の中で足によりワインを圧搾し、チャチャ(果皮、果肉、種、一部の茎)全てをブドウジュースと一緒にクヴェヴリの中へ移します。(最近では高度な圧搾機を用いるワイナリーも増えています)醗酵が始まると最初の10日間は一日4回ほど棒で中を浮上した果皮を突き下げ、醗酵期間中はずっと作業を続けます。通常20-25日ですが、長くなると40日にも及ぶ時があります。
醗酵が終わるとチャチャはクヴェヴリの下部に沈み、蓋をかぶせます。マロラクティック醗酵が終わった段階でクヴェヴリは完全に密封され、チャチャは天然の清澄剤の役目を果たしてくれます。この期間が長すぎてもチャチャがワインにとって好ましくない風味を生んでしまうので、この醸しの期間もとても重要です。
収穫の翌年、通常は3月から4月の初旬にかけて最初のラッキングが行われ、ワインとチャチャが分けられます。その後、更にクヴェヴリでの熟成を行う蔵や、樽に入れる蔵、ボトリングを行う蔵など、それぞれが理想とするワインのスタイルに合わせて熟成期間や手段が選択されます。
カヘティ地区原産のブドウはクヴェヴリ醸造、ヨーロピアン式の醸造どちらを採用しても、比較的抽出が強めに行われ、フェノール成分が豊富でタンニンが豊かなワインに仕上がり、香り豊かなワインとなります。

 

品質重視のクリーン系ナチュラルワイン


オーナー:デイヴィッド・ブワゼ氏(左)、
オーナー&創設者:ギガ・マカラウズ氏(右)

シャラウリ・ワイン・セラーズは、ジョージア東部に位置するカヘティ地方、シャラウリ村に2013年ギガ・マカラウズ氏によって設立されました。カヘティ地方はジョージア産ブドウの大半が栽培される最大のワイン産地で、1991年に旧ソビエト連邦からの独立後、急速に成長を遂げました。
現在、盛んに国際品種も栽培され、ステンレスタンクを用いた近代的なワイン造りを行う大手から、シャラウリのようなブティックワイナリーまで大小様々な造り手が凌ぎを削っています。
シャラウリでは国際品種を使用せず、ジョージア固有品種を自然農法で栽培し、醸造所の地下に埋めた29のクヴェヴリ内で天然酵母を利用し、ブドウを自然醗酵させます。可能な限り人的介入を避け、醗酵後はクヴェヴリにて醸し(6カ月)、さらに種・果皮・酵母の残りかす等の固形物(チャチャ)を取り除いてから、再びクヴェヴリにて熟成(6カ月)を施し、フィルターを使わずボトリングを行います。そして、更に最低1年間の瓶熟を行うという贅沢な仕様です。(安定化の為にSO2はボトリング前に最小限使用)

クヴェヴリで醸造されるワインの多くは、このように最もナチュラルな手法を用いられることから、果実由来・酵母由来の沈殿物などが、旨味の要素となってワインに含まれ、時には混濁も見られます。生産者の中には、酸化防止剤である二酸化硫黄(SO2)無添加で仕上げる造り手もいます。この結果、流通の過程でワインが酸化したり、味わいに変化が生じたりと、不安定なワインの原因に繋がることもありますが、シャラウリのワインは伝統を重んじながらもワインの品質管理には細心の注意を払い醸造されている為、このような心配がありません。

  


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