WineList 【 F-6806_12 】

Hubert-Lamy

不遇の産地 サン・トーバンにあって
“ブルゴーニュの中の王の畑”
Clos de la Chateniere



 

ドメーヌ、ユベール・ラミー、
サン・トーバン
1級 クロ・ド・ラ・シャトニエール 2012
ヴィエーユ・ヴィーニュ 白

Domaine Hubert Lamy
Saint-Aubin 2012
1erCru Clos de la Chateniere
Vieille Vifnes


産地 : ブルゴーニュ、コート・ド・ボーヌ地区、サン・トーバン村クロ・ド・ラ・シャトニエール畑
格付け : サン・トーバン1級
生産者 : Dm.ユベール・ラミー
畑・土壌 : 表土は10〜20センチ。小石が多く混ざる南向きの石灰質土壌。標高280〜300mに位置する斜角40度の急斜面。
面積 : 1.3ヘクタール(1992年に購入。)
ブドウ品種 : シャルドネ
樹齢 : 1964年に植樹
醸造 : 畑から収穫された葡萄はベルトコンベアでプレス機に入れられます。空気圧式圧搾機でゆっくりとやさしく搾る。デブラバージュ(不純物などを沈殿させる)後、温度調節のできる樽、350lと600lの樽に分けて90日かけてじっくりとアルコール発酵を行う。樽は新樽を30%使い、ほかは1〜2年落ちの樽を使う。補糖は必要に応じて行う場合もある。 その後、低温のカーヴにて、ゆっくりと時間をかけ樽でマロラティック発酵を行う。清澄後、軽くフィルターをかけ、約1年後にポンプを使わずに重力システムで瓶詰めされる。
アルコール度 : 13%
容量 : 750ml
年産 : ケース
タイプ : 白ワイン、辛口
 : この16年、化学肥料は一切使わず、土壌のためのコンポストを与えています。収穫量は低いです。植密度は高く1.4メートル間隔。畑はビオもしくはリュット・アンテグレを採用しています。
 

一級畑「クロ・ド・ラ・シャトニエール」は、サン・トーバンでも最高レベルのテロワールを持つ畑と言われています。
ユベール・ラミーの看板とも言えるこのワインは、若々しい輝きに満ちた色調。ミネラル感がありフローラルな香り、フレッシュな果実や柑橘類のアロマがあります。
非常にきびしい2012ヴィンテージは生産量が激減したといわれるが。生産量が減った分、“幸運のミランダージュ” と逆説的に言われるほど、果実は濃縮し、リッチで美しいワインとなった。

 

 
 

 

低価格のみで知られる不遇の産地 サン・トーバンの知られざる個性

サン・トーバンは標高260メートルから340メートルという高地に位置するため、パワフルすぎず、酸もきれいで、飲み飽きない。モンラッシェと同じ丘に村の半分の畑が位置しているし、土壌としても申し分ない。ラミーはサン・トーバンの個性を「熟して、フレッシュで、ミネラリー」と言った。そのピュリニー・モンラッシェの緻密さとオート・コートの清潔さとコート・シャロネーズの可愛らしさを兼ね備えたような白ワインの味わいは、客観的に見るなら、多くの人に好まれる個性のはずだ。

それでも、不人気だ。市場でサン・トーバンを見るとしたら、それは普通、コランか、ドランだ。コランの場合、多くの人の頭をよぎるのは、モンラッシェの所有者としてのコラン。ようするに、高級ブランドのセカンドラインとしてのサン・トーバンだ。ドランの場合、消費者はサン・トーバンが欲しいのではなく、ビオディナミの個性的生産者としてのドランに興味があるのだ。

だから逆に、10種類ものサン・トーバンのワインを至極まっとうに造る、この村の代表的生産者、ラミーが損をする。サン・トーバン自体に興味がない人にとっては存在意義がない。しかし興味があるなら、標準となる味わいが、もっともわかりやすい形で表現されているのが、ラミーのワインだ。

サン・トーバンの基本として理解しておかなければならないことは、赤色粘土石灰質土壌と白色マルヌ土壌という、二種類の土壌だ。赤色粘土質土壌は、ピュリニーの丘の標高320メートルから下と、ピュリニー・モンラッシェの畑に接する部分にある。代表的な一級畑名でいうなら、アン・ルミリー、ラ・シャルモワ、レ・ミュルジェ・デ・ダン・ド・シェンだ。白色マルヌ土壌はそれ以外の部分で、デリエール・シェ・エデュアール、レ・フリオンヌ、レ・カステがそうだ。前者はリッチな味わいでスケールが大きく、後者は繊細で硬質なワインとなる。 モンラッシェと同じ赤色粘土質土壌は、当然のようにシャルドネに向く。アン・ルミリーは堅牢でミネラリー、ラ・シャルモワはクリーミー、レ・ミュルジェはパワフル、といった違いがある。

白色マルヌ土壌は、ピノ・ノワールに向く。この赤ワインが素晴らしい。サン・トーバンは今では白ワインが有名で、ピノ・ノワールの畑は徐々にシャルドネに改植されつつあるが、伝統的には赤ワインの産地だ。白ワインがプチ・ピュリニー的なお買い得感から評価されるのに対して、赤ワインのほうは遥かに独自性があり、サン・トーバンらしさがより伝わってくる。たとえば、チェリーとスパイスの硬質な香り、タイトな構造、そして鋭角的なエネルギー感が特徴的な、デリエール・シェ・エデュアール。同種の土壌を持つフォージュレー・ド・ボークレールのボンヌ・マールやモンティーユのヴォルネイ・タイユピエが好きならば理解できる通なワインであり、一度は試してみるべき個性だ。

ワイナート36号『今どきブルゴーニュ』より抜粋

 


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