現在シャトー・パラディがある葡萄畑は古くから存在し,葡萄栽培も行われていたが,たびたび所有者が代わり,造られるワインも平凡な品質であった。しかし,2003年,輸入雑貨の販売で財を成した実業家のフィリップ&ジュリエット・デシャン/Philippe
et Juliette
Deschamps夫妻がシャトーを買収。大規模な投資を行い,畑と醸造施設を大幅に改修した。状態の悪い葡萄の引き抜き,再植樹,グラヴィティー・システムを備えた醸造所の建設,18世紀の邸宅の復元など,あらゆる面で超一流品質のワイン造りに乗り出した。
ミシェル・タルデュー & フィリップ・カンビ
デシャン夫妻は,タルデュー・ロランの本拠地であるルールマランにある,南ローヌのワイン愛好家の集うミシュラン一つ星レストラン<ラ・フニエール/La
Feniere>で,料理長ギィ・サミュの紹介でミッシェル・タルデュー/Michel
Tardieuに出会った。デシャン夫妻のワイン造りにかける熱意に打たれたミッシェル・タルデューは,その場でシャトー・パラディの醸造コンサルタントを務めることを快諾した。その後,ミッシェル・タルデューの伝手で,パーカー・ポイント100点満点ドメーヌであるシャトーヌフ・デュ・パプ“レ・カイユ”(アンドレ・ブルネル)でセラー・マスターを務めていたフランソワ・ティソがシャトー常駐の栽培と醸造責任者に,そして<ローヌのミッシェル・ロラン>フィリップ・カンビ/Philippe
Cambieが,もう一人の醸造コンサルタントに就任し,超一流を目指すワイン造りが始まった。