ヤラ・イエリング
Yarra Yerig :

ヴィクトリア州ヤラ・ヴァレー 

 

19世紀にはヴィクトリア州のワイン生産の中心となり、その後1921年にブドウ栽培が途絶えてしまったヤラ・ヴァレー復活の先駆者となったのがヤラ・イエリングのDr.ベイリー・カローダスです。
この1921年から1969年までというのは、オーストラリアで酒精強化ワインが主流だった時代で、涼しいヤラ・ヴァレーは酒精強化に適するようなヘビィで大柄なワイン生産には適さなかったのです。1960年代から徐々に消費者の嗜好が変わり、テーブル・ワインへと戻りはじめました。丁度その頃、複雑で洗練されたワインを造るなら涼しい地区が良いと考えたカローダスが、はって名声を誇ったヤラ・ヴァレーに注目したのです。
カローダスはメルボルン大学で樹木生態学を、ローズワシー大学で醸造学を学びました。そしてクレア・ヴァレーで大規模なワイン造りに携わりましたが、”偉大なワイン”と呼べるようなものを造る機会に恵まれませんでした。フランスのボルドーやブルゴーニュなどの偉大なワインに引けをとらないワインを造ってみたい。そのためには涼しい生産地の中の温暖なスポットに畑を作る必要がある。そう考えたカローダスが選んだのがヤラ・ヴァレーでした。
ヤラ・ヴァレーをくまなく歩き回り理想的と思える場所をヤラ川の1.6km南に見出しました。そこは北向き斜面で灰色の粘土質土壌に多くの砂利が混じり水はけと保水力のバランスの良い場所でした。12haの土地を購入し、まずカベルネソービニォン、マルベック、メルロ、カベルネフラン、シラーズ、ピノ・ノワール、セミヤンを植えました。その後シャルドネ、ソーヴィニォンブラン、マルサンヌ、ヴィオニエ、オウティ・ヴェルド、ムールヴェドルを植えました。

ブドウのブレンドの比率がどうだって、どんな樽に何年入れたってそんなことはどうでもいい。飲んでおいしいワインかどうかが大事。知識にとらわれて頭でワインを飲んで欲しくない。」という考えからカローダスは一切ブドウ栽培やワイン醸造に関する情報を公表しません。ワイン・ショーには全く出品せず、ガイド・ブック等に情報を提供することもありません。
1978年よりブレンド比率、オーク樽の種類や熟成年数などさまざまな実験に取り組み独自のスタイルを築き上げてきたヤラ・イエリングでは今でも様々な工夫が考案されています。発酵は1m四方の木箱の内側にステンレスを貼ったオリジナルなもの。小さいロットで何十と発酵させるため手間は大変ですが、一つ一つの状態を見極めながら丹念に醸造するにはこれが最高とのこと。ユニークさと品質へのこだわりが、ワールドクラスのワインを生み出しているのです。

TANAKA-YA 取扱いワイン
Ar-2444 ヤラ・イエリング、ドライ・レッド No1 1998 

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