1)昔ながらの方法〜圧搾法
圧搾法はオリーブオイルの製法ではもっとも伝統的な方法です。この方法はオイルの個性を生かす、もっとも良い方法と言われています。現代でも、オイルの個性を生かすため、わざわざ手間暇かけたこの方法で搾油している工場もあるほどです。
この方法は小さな設備で済む点から、個人の小さな工場でも良くつかわれているようです。
まずは、オリーブの実を丸ごと石臼で挽いてよく混ぜます。石臼はゴロゴロと音を立てて、石の車輪とその軸が回ります。この石臼は、小麦をひくように石臼が2枚に重なっているのではなく、縦に車輪のように回転してるのが特徴的です。石臼についたオリーブの実ももったいないので棒で落とします。30分ほどかけてすり潰したオリーブは盤状のマットに搾り出され、手で平らにならしていきます。このマットを幾重にも重ねていきます。オリーブペーストが塗られたマットが100枚ほどまとまったら圧搾機まで運びま。圧搾機にこの100枚ほどのマットをセットし、圧力をかけてオリーブの果汁を絞っていきます。圧搾機で徐々に圧力をかけることで、オリーブの果汁が段々と絞り出されてきます。絞られた果汁は細いホースで遠心分離機まで運ばれていきます。すぐに遠心分離機にかけることで、油分が空気にさらされている時間を短くすることができるため、品質のよいオリーブオイルを得ることができるのです。水を足しつつ、20分ほど遠心分離機にかけると水分と油分に分かれます。これが絞りたてのオリーブオイルです。
圧搾法は、どの工程にも人手と時間がかかります。圧搾法で品質の高いオイルを作るためには、しっかりとした工程管理と職人の熟練度が要求されるものです。
2)機械を使った方法〜遠心分離法
遠心分離法は、2台の遠心分離機を使って行います。これらは一つの連続したラインになっています。より速く、たくさんの搾油が出来るため、現在約80%のオリーブオイルはこの方法によって作られています。主に大手企業の生産は殆どがこの方法によっています。
オリーブの実を洗う洗浄機、実を潰してペーストにする破砕機、そのペーストを練る攪拌機、ペーストから果汁を取り出す遠心分離機、果汁をオイルと水分に分ける遠心分離機、これらの機械が一つの生産ラインとなって、作業が進んで行きます。この方法なら人手もかからず、ボタン一つで機械を操作できるので大変便利ですし、密閉されたパイプの中で工程が行われるので、とても衛生的でスピーディーです。しかし、問題点としては、粉砕機で作るペーストが粗いため、オイルを取り出す効率があまり高くないといった点が挙げられます。効率を上げるためにはペーストに熱を加えて練りますが、この温度が高すぎるとオリーブオイルの風味が失われてしまうため、加熱は30度以下とされています。また、ペーストが固すぎると遠心分離機が回転しにくくなるので、ペーストに水を加えることもありますが、後の工程で取り除かれた水分に、オリーブの成分が溶け込んでしまうことが難点です。遠心分離法で作ったオリーブオイルは、圧搾法よりまろやかで個性が弱くなる傾向があるようです。
3)パーコレーション法、シノレア法
パーコレーション法は、ペースト状オリーブを遠心分離機にかけ固形分と果汁とに分けたあと、果汁から金属のプラスとマイナスの電極を利用して、液体の中からオイル分だけを金属に引き付けて集めるという方法です。この方法は無理な圧搾や遠心分離をしないので高品質のオイルを生産できます。しかし、手間がかかり効率が悪いといった難点があります。
この方法は、特にこだわりを持つ生産者が利用している方法のようです。手間がかかる分、値段も高めとなります。
また最近では、最高の品質のエキストラヴァージンオリーブオイルを作るために最新鋭の技術「シノレア方式」を用いている工場もあるようです。このシノレア方式は、オリーブの実から油を搾る際、従来では圧搾する方法を用いていたのに対し、まずオリーブの実をペースト状にして、そのペーストをステンレス製の刃にてゆっくりと攪拌することにより、ペースト状に内在する液体
( オリーブの実の水分と油 )
の表面張力と重力を利用して、少しづつ滴となって分離されてゆく上質の上澄みオイルのみを抽出していく方法です。簡単に言ってしまうと、水とオリーブオイルの表面張力の差と自然重力だけでオリーブオイルを抽出するということです。
ゆっくりと時間をかけて攪拌しながら低温にて抽出されるので、出来上がるオリーブ油の量は少ないのですが、純度の高く香しい最高品質のエキストラヴァージンオリーブオイルが出来上がるというわけです。
【
http://オリーブ・オイル.com/18_1.html
】より転載させていただきました