[ロバート・パーカーのコメント要約]
2005年のグルナッシュ・アトランティスは、私にヴィーニュ・ジュリエンヌのシャトーヌッフ・デュ・パプ・レゼルヴのカリフォルニア・バージョンだと思わせた。
驚異的にピュアなワイン。カンフル、カンゾウ、キルシュリキュール黒いフルーツの豊富なキャラクターの衝撃的な香り。切れ目のない高揚したアロマティック、酸、樹のニュアンス。タンニンとアルコールの幾重にも重なる層の味わいの要素は現代の伝説である。
その特別な力強さと豊かさがあるにもかかわらずエレガントさとフレッシュ感もワインに交わっている。
完璧な2005年のシラー・アトランティスはブルーベリー、ブラックベリー、お香や黒鉛の香りを織り交ぜた花のようなアロマがグラスから急上昇する。けれどもクランクルはとても大きく最も濃縮したシラーにはしなかったがこれは最もニュアンスがあるエレガントで不可雑なワインのうちの1つである。
多くのカリフォルニアのシラーと比較するとフルボディで口の中の広がりがあるがエレガントで繊細も備えている。それでもその強さは腰を抜かすほどでありフィニッシュは1分以上も続く。
私自身が理解できているかどうかはわからないがしかしどうやらナンセンスな事を言う派閥が"低収量である事"だけを買いかぶっているようだ。勿論、収量を気にせず工業的に葡萄を栽培する農家や畑の管理をしていないか損得だけを考えているワイナリーを悪者にしてそれ(低収量=良)をもっともらしく主張しているのだが。
私の30年の経験則からも最も低い収量の畑が最も面白いワインを産みだす傾向にあることはいつも提唱している。
シネ・クア・ノンはここ10年に渡り、世界中で最も偉大なワイナリーのうちの1つとなったそしてそうなった1つの理由が"低収量"である。
この究極のガレージワインを産み出す裏通りの倉庫は映画マッドマックスの舞台装置のように見える。しかしこの中には夢の不老不死の薬がある。クランクルはすでに高い名声を得たのにもかかわらずこの潤沢でピュアそして濃度のある個性をそのままに更により多くのニュアンスと複雑性を微調整しながら組み入れ続けている。私はますますオーストラリアやアメリカ、南アメリカ、その他ニューワールドからマンフレッド・クランクルのワイン以上に素晴らしくより複雑で説得力のあるワインは出てこないと確信している。
1年間は驚異的なテイスティング(2005年のボルドーやこれから試飲する2007の南ローヌ)でいっぱいだがその中でもヴェントゥーラ(シネクアノンの所在地)の裏路地に佇むいわゆる「garage
d'or」での試飲は、万里の長城の横でテイスティング・ディナーを行う位のイベントである。