の日本酒豆知識


日本酒もの知りコラム その01 
特定名称酒の分類一覧

名 称

原 料

精米歩合

特 徴

純米大吟醸

米・米糀

50%以下

吟醸造り。
アルコール添加をしない。

純米吟醸

60%以下

大吟醸

米・米糀・
醸造用アルコール

50%以下

吟醸造り。
アルコール添加をする。

吟醸

60%以下

特別純米

米・米糀

60%以下

アルコール添加をしない。

純米酒

70%以下

特別本醸造

米・米糀・
醸造用アルコール

60%以下

アルコール添加をする。

本醸造

70%以下

 
 

日本酒もの知りコラム その02 
日本酒度・酸度

 

 

日本酒もの知りコラム その03  
生もとと山廃

糀と蒸し米、水をベースに、アルコールを生み出す酵母を大量に培養したものが「もと」。お酒のモトになる母のような存在なので、「酒母」とも呼ばれます。
この「もと」を造る際にポイントとなるのが「乳酸」。雑菌に弱い酵母をガードしてくれるのです。この乳酸の由来によって、「もと」は速醸もとと、生もと系もととに大きくわかれます。
既成の純度の高い醸造乳酸を添加する方法、これが「速醸もと」。明治43年に考案され、安定した品質のもとを造れるため、現在広く使われています。
一方、乳酸が自然の乳酸菌から生まれるのを待つ昔ながらの方法。これが生もとです。ここでは硝酸還元菌や乳酸菌など入れ代わり立ち代り繁殖・絶滅していき、最後に酵母だけが生きられる乳酸の海の中で、酵母が爆発的に増殖します。速醸もとが2週間ほどでできあがるのに比べ、生もとの完成には約30日もかかります。温度管理などコントロールガ難しく高度な造りの技が必要とされるものの、強い酵母が生まれるのも特徴。各種の微生物が作りだす複雑な香味が加わって、味わい深く腰の強いお酒ができあがります。
生もと造りの際、糀と蒸し米を櫂ですりつぶし、米を溶かしやすくする「山卸」という作業が行われます。最近よく見かける「山廃もと」はとは、この「山卸」を「廃止」したもとのこと。糀の酵素が米を溶かす事実がわかり、現在では生もと系のもとは、「山廃」が多くを占めるようになっています。
 
 
 

日本酒もの知りコラム その04  
軟水・硬水

日本酒の成分の8割は水。水の質は味わいに意外と大きな影響を与えます。圧倒的に軟水の日本の水も、ミナラル分の多い・少ないによって硬水と軟水にわけられますが、硬水を用いると濃醇で辛口の酒になりやすく、一方、軟水を用いると淡麗で甘口の酒になる傾向があります。

 

 

日本酒もの知りコラム その05 
お燗酒

「氷温」「冷蔵」「ひや」から「お燗」まで、日本酒ほど幅広い温度で楽しめるお酒もありません。ひとくちにお燗酒と言っても、日向燗(約30℃)、人肌燗(約45℃)、熱燗(約50度)、とびきり燗(約55℃)などいろいろ。温度が変れば味わいの表情も変わります。
一般的にお燗に向くのは、旨味と酸味の強い、味のしっかりしたお酒。低温ではひっそり隠れていた旨味やコクがふっくら膨らんで見事に開花 − 風味はアップし「燗上がり」します。美味しくお燗をつけるなら、湯煎をする要領で、お湯に徳利をつけて温めるのがいちばん。対流を起こしやすい丸みのある徳利が最適です。心地よく酔いをめぐらせるお燗酒は、アルコールも適度にとんで身体にやさしい呑み方です。
 
 
 
 

日本酒もの知りコラム その06
味わい分類

味わいの分類にはいろいろな方法がありますが、ここでは日本酒度と酸度のデータをもとに、濃醇辛口・濃醇甘口・淡麗辛口・淡麗甘口の4つに分ける方法をご紹介。日本酒の味わいは、アルコール度やエキス分など様々な要素が絡み合った微妙なバランスからなる複雑なものですが、わかりやすい『目安』として勝つようできます。

 
 

日本酒もの知りコラム その07
酒林、造り酒屋の看板

造り酒屋の軒先に吊るされている「杉玉」。「酒林」とも呼ばれ、いわば造り酒屋の看板です。その正体は杉の葉を丸くたばねたもの。かっては、新酒をしぼり終えると新緑の杉の玉が吊るされ、まわりの人々は新酒ができたことを知り、茶色に色が変ったのを見ながら、酒の熟成を待ったのです。その起源は江戸時代に遡り、一説によると酒の神を祭る奈良の三輪神社に由来すると言われています。毎年冬に行われる酒祭り「酒栄講」に集った杜氏さんたちが、御神木のスギで作った杉玉をお守りとして持ち帰ったのが始まりだとか。
 
 
 
 

日本酒もの知りコラム その08
生酒3様

パスツールがワインの腐敗防止に「低温殺菌法」を考えたのが19世紀半ばのこと。日本酒の世界ではそれより300年も早く、室町時代から「火入れ」という低温殺菌が行われてきました。これによって醗酵を止め、雑菌を殺し、香味を保つのです。通常は貯蔵する前に一度、瓶詰めする前に一度、計二度行います。
さて、この火入れを一切行わないのが「生酒」。新酒の華やかな香りと瑞々しいフレッシュ感が残り、夏に涼しい味わいです。
よく似た表示に「生詰」がありますが、こちらは貯蔵前に一度だけ火入れします。夏の間に寝かせて秋口に「ひやおろし」として出荷されたりもします。もうひとつの「生貯蔵」は、生のまま低温貯蔵し、瓶詰め直前に一度だけ火入れを行ったものです。
 
 
 
 
 

日本酒もの知りコラム その09
日本酒の製造行程

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日本酒もの知りコラム その10
 酵母

糖分をアルコールに代えてくれるのが、「酵母」。一口に酵母と言っても、果実のような吟醸香をだす酵母など、様々なキャラクターがあって、味わいに大きな影響を与えます。
歴史を重ねた酒蔵には、永年棲みついた蔵付き酵母があります。昔は、この野生酵母が桶の中に入り、条件にあった酵母だけが自然増殖してお酒を造っていたわけですが、醸造技術の進歩とともに、優秀な酵母を分離することができるようになりました。これが「協会酵母」と呼ばれるもの。もちろん自蔵で培養したオリジナル酵母や、最近では各県が開発した酵母も使われています。

蔵から分離された代表的な協会酵母には、次のようなものがあります。
1号、2号というのは、採取の順番。

日本酒もの知りコラム その11
大吟醸と鑑評会

毎年行われる全国新酒鑑評会は、明治44年から続く全国規模のお酒のコンテスト。吟醸酒は、この鑑評会の中で様々に形づくられてきたものなのです。
鑑評会に出すために「吟味し醸した酒」、その総評が“吟醸酒”。鑑評会出品酒は蔵元の数ある仕込みの中でも“本命”と呼ばれ、手中の珠を磨くようにして育てられます。米を厳選す、よく精米し、丹念に糀を造り、酵母も選び、小さな仕込みで低温醗酵させる − という造り方が、だいたい共通して行われるようになり、果実香をまとった上品な酒質が確立されたのが昭和20年代。この頃から吟醸酒という言葉が業界に広がるようになりました。やがて吟醸酒の中でも、特に吟味して造られる究極の吟醸酒を「大吟醸」と区別して呼ぶようになったのです。
 しかし、昭和50年代に入るまで、吟醸酒はほとんど市場に出回らない蔵元秘蔵の酒で、一般の人が口にする機会はほとんどありませんでした。
 
 
 
 

日本酒もの知りコラム その12
酒造好適米

お米の品質は、水とともに酒質の良し悪しに、大きく影響を及ぼします。昔から酒造りに適した米は貴重とされ、品種の改良も重ねられてきました。ふつうに御飯として食べられるお米(飯米)でもお酒は造れますが、特にお酒にして実力を発揮するのが「酒造好適米」。吟醸酒などの高級酒には、この酒造り専用のお米が使用されます。代表的なものに山田錦、美山錦、五百万石、雄町などがあります。
 その特徴は、飯米に比べて粒が大きく、白い芯の部分「芯白(しんぱく)」が中央に鎮座していること。芯白はでんぷん質が粗いため軟らかく、文字通り白く見えます。また、お酒にしたとき雑味のモトとなるタンパク質も少ないお米です。
 ところで酒米品種は、古い稲の特質を残しています。改良を重ねた飯米品種よりも背丈が高く、穂先には“ノゲ”と呼ばれる針のような毛を持ったものもあります。こうした古い稲の特徴を残しているため、酒米の栽培はむずかしいのです。高い背丈は実りの時期に倒れやすく、水田の世話にも手がかかり、一反あたりの収穫量も少ない。そのため、戦中戦後の食料難の時代に姿を消した品種も数多くあります。
 しかし、高級酒への要望の高まりとともに、酒造好適米の栽培も増え、絶滅の危機に瀕していた品種を復活させる動きも出てきました。また、米の需給政策を司どってきた食管制度が廃止されてからここ十年ほど、品質にこだわった酒米を、地元の農家と協力して作る蔵元が、各地で増えてきました。同じ品種の酒米でも、地域や栽培方法によっては、まったく異なった品質の米になるのです。化学肥料や農薬を多用して多収を求める米作りを見直し、酒造りにとって必要な品質をそなえたお米を、蔵元自身が自家栽培したり、農家と直接契約して栽培したり − 理想とする酒を造るために理想とする米から育てようというものです。「酒造りは米作りから」始まるのです。
 
 
 
 

日本酒もの知りコラム その13
吟醸香

酒作りの技術が進歩しても、吟醸造りは難しく、とりわけ「吟醸香」と呼ばれる果実香りのような特有の香りをだすため、これまでに涙ぐましい努力が払われてきました。
 果実から造られるお酒ならともかく、米から造られるお酒にこの果実のような吟醸香が生まれるのは、じつは、糖をアルコールニ変えてくれる酵母菌の力。元気がよく香りを造りやすいタイプの酵母菌が、充分な栄養を得られない状態に陥ったとき、吟醸香をだします。
 吟醸造りにおいては、お米を極限まで、贅沢に精米します。このとき米の外側に多く含まれる、酵母が好んで食べる栄養源も削りとられてしまいます。残る酵母の食べ物は、糀菌が米のデンプンを分解することによって作りだされる糖分。
 吟醸用の糀は、ゆっくりとデンプンを分解して糖分をつくるような糀にします。それが“突き破精(つきはぜ)糀”と呼ばれるもの。糀菌の菌糸が、蒸し米の内部にクサビのように深く食い込み、お米をゆっくり溶かしていく糀です。つまり酵母がつねに腹八分目でいる状態を維持し続けられるようにするための糀。これが吟醸造りには理想的な糀なのです。
 さらに吟醸酒のモロミの醗酵は、米があまりに溶けすぎないよう、摂氏6℃〜10℃ほどの低温でおこなわれます。これは酵母が活動できるギリギリの温度。こうして飢えと寒さに追いやられたとき、酵母はふだん使わない手法でエネルギーをつくり始め、その時に果実香(芳香エステル)が生み出されるのです。
 酵母を甘やかさずいじめすぎず、常に目を配り、繊細に愛情をそそぎ、技の粋を集めて造られるお酒、それが吟醸酒なのです。
 
 
 
 

日本酒もの知りコラム その14
その他ラベルに使われる用語

原酒もろみをしぼったまま、アルコール度数調整のための加水をしていないお酒です。
 
生一本:単一の製造場のみで造られた純米酒。複数の製造場のお酒をブレンドした場合は表示できません。
 
樽酒:木製の樽で貯蔵され、樽のまま、もしくは瓶に詰め替えて蔵出しされたお酒です。樽は杉で造られ、そのさわやかな木の香を楽しめます。
 
手造り:昔ながらに「こしき(大型のせいろ)」で米を蒸し、米糀を丹念に手造りし、生もと系もしくは速醸系のもとを造り、もろみを仕込んだお酒です。
 
古酒(長期熟成酒):一般的に、生まれてから1年ほどたち、じゅうぶん熟成した清酒を「熟成酒」と呼び、3年以上熟成させたものを「古酒(長期熟成酒)」と呼んでいます。古酒は造り方と貯蔵温度で、大きく3つのタイプにわけられます。一つは吟醸タイプのお酒を低温で貯蔵した「淡熟タイプ」。生まれ持った特徴を残しながら、熟成によるまろやかさが加わり、かすかに淡く黄色がかった透明な古酒です。もう一つは純米酒や本醸造を常温で貯蔵した「濃熟タイプ」。琥珀色からルビー色と熟成が深まるほど色も深みを増し、生まれたときのお酒の特徴を遥に越えて、シェリー酒や老酒のように複雑で奥深い香味となります。そして、その中間にあるのが「中熟タイプ」。黄色みを帯びた色合いで、滑らかさの中に熟成酒特有の風味が漂います。「古酒」は、独特の風味のため、濃厚な味わいの料理との組み合わせで、思いもよらないおいしさを発揮します。
 
貴醸酒:記紀に伝えられる「ヤシオリノ酒」を再現したもの。お酒を仕込む際、仕込み水の一部を清酒にかえて造ります。3年以上寝かせて出荷され、トロリと濃醇な超甘口酒。
 
にごり酒:もろみを搾るときに、すっかり濾過してしまわず、粗ごしして、オリを残したもの。また、比較的目の細かいもので濾した酒を「薄にごり」といいます。
 
あらばしり:もろみを搾るときに、最初にほとばしる薄にごりのお酒を「あらばしり」と言います。香り華やかにして豊潤、新酒でいっそう美味しく味わえます。「あらばしり」が出終わると、透明に澄んだ酒が出てきますが、この部分が「中汲み(「中だれ」「中取り」とも)」。香りと味のバランスが良く、熟成にも向く。お酒の中の最上の部分です。