しらまゆみ
白真弓 』

有限会社 蒲酒造場

岐阜県飛騨市古川町一ノ町6−6
杜氏:


古くて新しい酒「木桶仕込み」

昭和30年代にほとんど姿を消した木桶仕込の日本酒が注目を集めています。
3年ほど前から始まった木桶仕込は、年を追うごとに取り組む蔵元が増え、
すでに全国で数十社の蔵元が取り組み、さらに増えそうな勢いです。
「木桶仕込」に取り組む蔵元のほとんどが、“古い日本酒の復刻”ではなく、
“新しい日本酒の可能性”への挑戦です。

JS-501


720ml 詰
カートン付き
税込み\1,500.
在庫 6本

白真弓
飛騨流桶仕込み
三百年の胸さわぎ


原材料名 : 米・米糀・乙類焼酎
酒質 : 本醸造
原料米 : ひだほまれ
精米歩合 : 75%
アルコール分 : 17度以上18度未満
使用酵母 : 
日本酒度 : +2.0
酸 度 : 1.8
アミノ酸度 : 2.3
詰口年月 : 平成17年10月
(平成16酒造年度酒) 

 岐阜県産の酒造好適米「ひだほまれ」100%使用。あえて磨きすぎず 75%精白。柱焼酎として地酒に使用していた米焼酎をブレンド。
仕込には杉樽をこのために現代に合うように新調し、杉樽ならではの杉の香りがほのかに香り、引き締まるような酸味をお楽しみください。

 

 

■木桶そのものが物語りになる
きっかけは、日本酒造りに魅了された米国人女性セーラ・マリ・カミングスさんが、「木桶仕込」は世界に誇れる日本酒文化のひとつであるという、異文化の視点から見た意見でした。
やがて、この考え方に賛同した蔵元たちが、蔵の片隅や他の蔵元に何十年も埃にまみれて眠っていた古い木桶を引っ張り出したり、譲ってもらったり、さらにはそれを補修したり。また、どうしても古い木桶が手に入らない蔵元では、木桶を新調するなどして始まりました。しかし、大きな木桶の補修だけでも専門の技術が必要です。現在では、全国でも数えるほどまで、減少した木桶職人探しが必要です。まして、木桶の新調となると杉の大木の入手から始めなければなりません。何しろ、日本では少なくとも40年以上も前に“途絶えた文化”だったからです。様々な苦労と工夫が感動的なドラマを生みました。

■「木桶仕込」ってどんな酒

近代の日本酒製造技術は、吟醸造りに象徴されるように、一定の型にはまった酒造りをどれだけ精度よく行うかという方向で進歩してきました。

特に、モロミの温度管理は、0.5℃以下の精度でコントロールできるようになり、またそのような管理がよいものとされてきました。それはそれで、もちろん間違いであろうはずがありません。近年の日本酒の酒質向上は、このような技術が背景にあったからこそ達成されたことも事実です。しかし、それだけが酒造りではないのではないというのが「木桶仕込」なのです。

現在の金属性のタンクでは、熱の伝わり方がストレートでその分酵母を思うようにコントロールできる反面、酵母に相当なストレスを与えながら酒が造られるのです。一方、「木桶仕込」の場合、緩やかに熱が伝わるために、酵母を思うようにコントロールできない反面、のびのびと酵母は発酵します。その結果、従来の酒よりも雄大な豊醇さでありながら、思いもよらないほど綺麗な旨味があり、それに木桶ならではの、木の香りと独特の風味の酒質になるのです。

『澤乃井』の田中杜氏は、「今までの酒造りは“人が造る酒”でした。木桶仕込は“人が造らされる酒”なんです。主役が人ではなく、酵母なんです。どんな酒になるかは、酒を搾るまで、まったく見当もつかないんです。木桶仕込は、私に酒造りの原点を教えてくれました。だから私は、木桶仕込を“原点の酒”つまり本当の“原酒”と呼びたいんです。」と語ります。田中杜氏のこの言葉が、「木桶仕込」をよく表現しています。

■古いのに新しいとは・・・
濃醇でありながら、綺麗な酒質。そして、各蔵元が共通していう言葉に、木桶仕込のモロミには、必ず濃密なバナナの香りが立ち込めるということ。そんな「木桶仕込」が40年以上も前の日本酒とどういう違いがあるのか。それは、精米技術から原料処理、麹造り、酒母造りにいたる工程には、現在の高度な醸造理論と技術が用いられることです。つまり、現代の優れた技術と古きよき時代の技術のコラボレーションがまったく新しい味わいの酒を生み出すのです。しかも、それはより自然に近い形で・・・。
「木桶仕込」を楽しむためには、まず冷やで、そのままの味わいを確かめたあと、湯煎でお燗を楽しむ。冷やの時には、少しクセに感じるような個性が、まろやかな旨味の一部に変化したようなそんな気になります。これは、もう取って置きのオツマミがほしくなります。それも普通のじゃなくて、珍味といわれるようなものが・・・。
大吟醸の対極にあるお酒です。華やかさや上品さはないかもしれません。しかし、じっくりと腰を据えて飲みたくなる「酒のなかの酒」それが「木桶仕込」なのです。