ヴィン・サントの生産地は、主にイタリア北・中部ですが、中でもトスカーナのキアンティ地区で造られるものが最も有名です。
ヴィン・サントの歴史は古く、ギリシアからイタリアにワイン造りが伝えられた時代に最初に普及したのがこのヴィン・サントといわれています。ギリシアは高温で乾燥した気候だったため、収獲したブドウをそのまま天日で乾燥させ、糖分を高めてから圧搾し果汁を取っていました。これに比べてイタリアでは、乾燥はしていてもギリシアのように気温が高くならないため、収穫後は室内で100日前後をかけてゆっくりと乾燥させます。
トスカーナ州では主に白ブドウ品種であるトレッビアーノ種、マルヴァジア種などから造られ、これらは比較的果皮が分厚くアパッシメント(乾燥)に耐えうることができるといわれています。乾燥期間の後はブドウを除梗・破砕し、圧搾機で果汁を絞ります。その果汁を一晩寝かせ、その上澄み液だけをワイン用として樽に入れ醗酵させます。糖分が高いため、長い時間かけてゆっくりと醗酵させます。アルコール度14〜16%に達したところで自然に醗酵が止まり、その後は熟成用小樽(カラテッリ)に移します。法定熟成期間は5〜6年で樽を密封して熟成させるため、ゆっくりと香りが高められ、ナッツのような香ばしい香りを持ち、また酸味のバランスの良い上品な味わいのデザートワインとなります。地元トスカーナでは、特産のアーモンド入りハードビスケット、ビスコッティ・ディ・プラートをこのワインに浸しながら食べる習慣があります。
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