『ヤギの丘』を意味するコッレカプレッタはウンブリア南部のスポレート郊外に位置する。ヴィットリオとアンナ夫妻、そして娘のアンナリサによって地元品種のオリーヴ、小麦や野菜等の栽培、そして固有品種によるワイン造りを行っている。総生産量は７０００本程度。
『ウンブリアの中でも標高が５００mを越し、昼夜の寒暖差が大きい。そしてコッレカプレッタの丘はカルシウムと鉄分が豊富な粘土と石灰層が折重なった優れた土壌だ』（醸造責任者ダニッロ）
畑では一切の化学薬品も有機肥料も使われない。彼等の飼育している動物の糞と葡萄樹の枝や剪定された果実のみが肥料となって葡萄樹の生育は進んでいく。
『僕はここ、スポレートで生まれた。昔から何も変わらずに行われているコッレカプレッタのワイン造りに大きなポテンシャルを感じ、ワイン造りを手伝うことにした。思った以上のポテンシャルに驚いている』（醸造責任者ダニッロ）

マッティオーリ家は有機栽培野菜の生産者。昔から葡萄の栽培も少し行っていて、地元消費用にワインも造っていた。
『ダニッロの父親と僕は仲の良い友人。ワイン造りは片手間にやっていたのでダニッロが手助けをしたいと言ってきた時にはちょっと驚いたけどすぐに任せることにした』。ダニッロの造るワインを飲んで素直に美味しいとは思えなかったと言うヴィットリオ氏も
『自分達の葡萄畑は一度も薬剤を使用していない。葡萄樹は自然にさらされても力強く生きている他の野菜同様に形は悪くとも品質は高い』
と、スポレートの個性を生かしたワインには納得。

　かかく　　

産地　：　イタリア、ウンブリア州（１０）、スポレート
生産者　： コッレカプレッタ（オーナー：ヴィットリオ・マッティオーリ）
醸造責任者　：　ダニッロ氏　
ブドウ品種 ：　チリエジョーロ種１００％
樹齢　：　１５〜５０年
収穫　：　手作業
単位収穫量　：　
アルコール度　：　１２．５％
容量　：　７５０ml
生産量　：　本
タイプ　：　赤ワイン、ミディアムボディ
　：　無農薬。収穫からボトリングまでの全工程で一切の酸化防止剤は使用しない。　

醸造　：　機械の入れない畑は剪定も収穫も全て手作業で行われる。早朝の収穫後、そのまま手で選果をしながら、葡萄粒を潰しながらホーロー製のタンクに投入していく。培養酵母の添加は一切なく、自然と発酵が始まるのを待つ。酵母は果実に付いている野生酵母と蔵に生息する蔵付酵母。よってカンティーナの天井と壁は水洗いは行わない。発酵初期段階は酸素を供給する為に、１日数回櫂入れを行い、キュヴェによって数日間のマセラシオン。果帽は昔ながらの木製垂直式圧搾機で搾られる。マロラクティック前にセメントタンク、もしくはホーロータンクに移され、熟成に入っていく。熟成中、何度かのデキャンティングと移し替えを経て、アッサンブラージュすることなく、直接手作業でボトリング（翌年３〜４月）。収穫からボトリングまでの全工程で一切の酸化防止剤は使用しない。

『1900年代後半、エノロジストの台頭によって技術革新が進んだ。結果として、ある意味での完璧なワインがお金を稼ぐようになり、地域性や自然の癒しはワインには存在しなくなってしまった』。
『本来のワインは人を元気にしたり、食卓を色づけるもの。そして他の酒との大きな違いは、その土地の土からできた、その土地の葡萄から醸したオリジナルの味。その土地にしかない個性こそがワインの個性』。
建築関係で働いていたダニッロは、縁あってモンテファルコのセラーで働き始める。その後、ワイン専門誌Porthosで工業的ワイン生産を否定し、自然なワイン造りを提唱するライターとして活躍。ナチュラルワインの造り手との親交も深く、その経験を活かしてコッレカプレッタでのワイン造りを開始。

『ライター時代にイタリア国内のワイン産地をまわって理想の土地と思えたのがエトナだった。エトナでのワイン造りをスタートさせるべく、１０年振りに地元に帰ってきて自分の愚かさに気が付いた』。
『自分の生まれた土地こそが自分にとって理想の土地だったこの地にしか存在しない葡萄とこの土地の個性こそが理想だった』。
『ウンブリアの中でも標高が５００mを越し、昼夜の寒暖差が大きい。そしてコッレカプレッタの丘はカルシウムと鉄分が豊富な粘土と石灰層が折重なった優れた土壌だということにやっと気が付いた』。