Wine List 【 F-7025 】

接ぎ木をしていない葡萄樹に由来するワイン・シリーズ
Cuvee Vinifera


Henry Marionnet

マリオネのドメーヌには全く台木を使わない区画がある。
この区画には、ガメィ、カベルネ、コット、ソーヴィニョン、シュナン、ロモランタンの6品種が接ぎ木せずに栽培されており、トータルで5.31ヘクタールの面積に達する。
「キュヴェ・ヴィニフェラ」は全て、この台木なしの区画から生まれるワイン。


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ドメーヌ・ド・ラ・シャルモワーズ(アンリ・マリオネ)
“ヴィニフェラ” コット トゥレーヌ・赤

Domaine de la Charmoise (Henry Marionnet)
2008 "Vinifera" Cot Touraine AC


産地 : フランス、ロワール地方、トレーヌAC
生産者 : Dm.ド・ラ・シャリモワーズ(アンリ・マリオネ)
品種 : コット種
植樹面積 : 1.88ha
単位生産量 : 50〜55hl/ha
植樹年 : 2000年
年平均生産量 : 5,000本
アルコール度 :
容量 : 750ml
タイプ : 赤ワイン。 ミディアム〜フルボディ
標準小売価格 : \
リュット・レゾネ Lutte Raisonee
除菌剤、除ダニ剤は20年来使用しておらず、セクシャル・トラップの技術を利用することも始めており、より葡萄畑の生態環境に適った栽培方法を行っています

濃厚さと収斂性が口中全体を覆いつくし、圧倒される力強さ。万人を驚かせる巨大で豪奢なワイン。
ミシェル・ベタンヌが
「今飲んで美味しいロワールの赤ベスト6」
の1本に選出したキュヴェ。

アンリ・マリオネ自身のワインコメント
圧倒的な黒いローブとともに、我々は異次元の巨大な世界に連れ去られるかのようである。ブラック・チェリーやカシス、バラなどの支配的なアロマ。味わいは、丸く溶け込んだタンニンとともにとても濃厚で、甘草やハッカを思わせるノートともに非常に複雑味がある。私は世界のどこにもこのようなワインは見たことがありません。

 

 アンリ・マリオネ自身の解説による
  台木を使わない葡萄畑とキュヴェ・ヴィニフェラ誕生の経緯

 「接ぎ木という外傷を受けない葡萄樹は全く別のワインを生むのではないだろうか?」

今までの人生の中で、私は常にこの疑問を持ちながら過ごして来ました。そして、年月とともに、オーセンティック(本物)なワインを追求したいという情熱が、夢を現実のものにしようと私を駆り立てるまでに強くなっていったのです。まず、1990年、私は、それが引き起こすあらゆる危険を承知の上で、二酸化硫黄も培養酵母も添加せず、無補糖、無清澄、無濾過という人工的な介入を一切行わない醸造法で、“プルミエール・ヴァンダンジュ”という100%自然なキュヴェを造り上げました。続いて、私は全く未知の領域に飛び込む決心をし、1992年に1ヘクタールの区画にガメィを接ぎ木することなく植樹したのです。これが、現在のトゥ−レーヌ・ガメィ“ヴィニフェラ”です。初めての収穫は1995年。結果は、私のあらゆる期待を凌駕する驚くべきものでした。出来上がったワインは、力強い香りと強烈なルビー・レッドの色調、そして豊かな味わいを持ち、接ぎ木したガメィとは全く異なるものだったのです。しかも、私が、この若いワイン(初めての収穫=樹齢3年)と一緒に比較試飲したのは、樹齢25年以上の葡萄樹に由来するワインだったのですから全くもって驚きです。つまり、その時私は初めて、全く違う次元の全く別のワインを味わったのです。トゥーレーヌ・ガメィ“ヴィニフェラ”は、2002ヴィンテージで8回目の収穫となりますが、私は毎年同じ違いを確認しています。

その後、人生の偶然は、私を1850年に植樹されたプレ・フィロキセラの葡萄樹の発見(1997年暮れ)へといざなってくれたのです。ロモランタン品種が植樹されていたこの区画は、私にまた1つ新たなワインを与えてくれることとなったのです。このプレ・フィロキセラ(つまり接ぎ木されていない)のロモランタンも、ロワールで通常に栽培されているクラシックなロモランタンとは全く異なるものでした。確かに150年という葡萄樹の樹齢が影響を及ぼしていることは明らかです。しかし、それでも、このロモランタンの持つアロマの美しさとフィネスは、比較を絶するものでした。

この2つのキュヴェによって大きな確信を持った私は、接ぎ木によるワインの性質の違いをさらに証明するために、実験の場を広げることにしました。2000年、0.3ヘクタールの区画にガメィ、1ヘクタールの区画にソーヴィニョン、2ヘクタールの区画にコットを接ぎ木せず植樹したのです。さらに、2001年、近くに住む造り手が、私に樹齢20年を超えるカベルネ・ソーヴィニョンとシュナンが植樹された畑を購入しないかと提案してきたのです。最初、私はこの畑の購入には否定的でした。しかし、当時の所有者が、接ぎ木せず葡萄樹を植樹していたことを思い出したのです。というのは、当時、その所有者は高齢で貧しく、地元の苗木家から台木を買う手段がなかったのです。周りの造り手達は、その畑がすぐにフィロキセラによって消滅してしまうだろうと彼を嘲笑していました。しかし、不思議なことに、今日まで葡萄樹はフィロキセラに侵されることなく生き続けているのです。

こうして、このカベルネとシュナンの畑を購入した私のドメーヌには、合計6種類もの接ぎ木されていない葡萄品種(ソーヴィニョン・ブラン、シュナン・ブラン、ロモランタン、ガメィ、カベルネ・ソーヴィニョン、コット)が勢揃いしました。総栽培面積5.31ヘクタールに達するこのような葡萄畑は、世界のいかなる場所でも見つけることのできないものです。正真正銘世界で唯一の実験と言えるでしょう。

昨年(2002年)秋、私は、初めて、この接ぎ木していない6品種全てを収穫することができました。この接ぎ木をしていない葡萄樹に由来する葡萄を醸造していて気づいた点は、これらの葡萄が一様に、接ぎ木してある葡萄樹に由来する葡萄に比べて、非常に繊細で醸造を成功させるのが難しいということです。特に、白葡萄品種に関しては、発酵が完全に終了しないという現象が起こりました。このため、ソーヴィニョンには4グラム、シュナンとロモランタンには8グラムの残糖が残りました。しかし、高い酸度のおかげでバランスが取れ、素晴らしく心地良い味わいで、品質には全く問題ありません。特にプロヴィニャージュ(ロモランタン)は素晴らしい出来です。残念ながらカベルネ・ソーヴィニョンは、接ぎ木していない葡萄樹に由来する葡萄ということが原因なのか、発酵中に技術的な問題が発生し、商品としてリリースすることができなくなってしまいました。しかし、ソーヴィニョン、シュナン、ロモランタン、ガメィ、コットの5品種は、“キュヴェ・ヴィニフェラ”のシリーズとして今回同時にリリースできることになりました。

世界市場へのリリースに先立ち、今年2月、フランスのアンジェ市で行われたロワール・ワイン・フェアにおいて、このキュヴェ・ヴィニフェラのシリーズの先行テイスティングが行われました。多くの来場者にキュヴェ・ヴィニフェラを評価して頂き、大好評を博しました。キュヴェ・ヴィニフェラの大きな特徴として2つの点が挙げられます。

1.白ワインは、どれも一様に、接ぎ木された葡萄樹に由来するものよりもエレガントで上品で品格がある。
2.赤ワインは、よりリッチで濃厚な色調、そして、より多くの素材と濃度がある。

今、私達は、比較試飲によって、台木がワインの品質に影響を与え、その特徴さえ変えてしまうことを知ることができるようになったのです。フィロキセラが発生する前に私達の祖先が飲んでいたワインを造り、味わえるということは、この上ない喜びと幸福をもたらしてくれます。皆さんがこのワインを味わうことで、私と一緒に“真のワインを味わう喜び”を共有してくれることを希望致します。
(2003年3月 アンリ・マリオネ)

 
  
 

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